当臨床検査科では、臨床検査技師7名(正規6名、嘱託1名)で病院と人間ドックや各種健診業務を行っています。
日々患者さま、臨床側から信頼される検査室を目指し、質の高い技術の習得、資質の向上を図り、正確で迅速な検査を心掛けています。
夜間・休日の緊急検査はオンコールで24時間対応しています。
また、臨床検査の専門性を活かし、他部署と連携しチーム医療へ参画しています。
専門知識・技術レベル向上を目指し、各種関連学会・研修会への参加や各種認定資格取得にも積極的に取り組んでいます。
検査内容は非常に多岐にわたりますが、大まかに採血や採尿等を用い、身体から発せられる様々な病気のサインをデータ化する検体検査部門と、患者さま自身を対象として行う生理検査部門に大別されます。
検体検査
院内で行われるほとんどの検査を迅速に報告しています。
また、正確なデータの提供を心がけ、毎日実施する内部精度管理のほかに外部精度管理にも参加しています。
一般検査では尿・便・胸腹水・髄液・関節液の検査を行います。
尿検査は、尿中の蛋白・糖・潜血・白血球等を定性測定することで腎疾患や糖尿病、尿路感染症などの状態把握に役立ちます。
血液検査は自動分析装置にて、赤血球・白血球・血小板の数とヘモグロビン濃度やヘマトクリット値、血液像(白血球の種類分類)などを測定し、貧血や血液疾患の有無、炎症の程度などを調べます。 凝固検査は手術の予定のある方や抗凝固薬や抗血小板薬の服用者の効果判定に重要です。
身体の一般状態を知る上で必要な検査で、酵素・蛋白質・糖質・脂質・電解質などを測定し、肝機能や腎機能、糖や脂質の代謝などを調べます。
また、肝炎ウィルスなどの感染症や、癌などから産生される腫瘍マーカー、心臓マーカー、甲状線ホルモンなども測定しています。
血液型をはじめ、手術や貧血の患者様に輸血を必要とするとき、輸血する血液(濃厚赤血球)と患者様の血液との間に不適合がないかを確認し、安全な輸血が行われるようチェックしています。
また、輸血関連検査の実施と血液製剤の保管・出庫までの一元管理を行い、安全かつ有効な利用や迅速な対応を行っています。
患者さまより採取された検体(喀痰・尿・便・血液等)から感染症の原因となる病原菌を特定し、どの抗生物質を使えば効果があるかを調べ診断と治療に役立てています。結核菌は遺伝子検査(PCR)の導入により、検体提出後2~4時間で結果が判明します。また、院内感染の予防にも努めています。
2020年歳明けとともに世界的に感染拡大した新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)の検査を実施するために、当院でも2020年11月よりPCR解析装置や高感度抗原定量装置を導入し、患者さまが安心して医療を受けられる体制を整えています。
生理検査
心臓、腹部、肺、脳、神経、筋肉、血管、耳などの生理的反応、機能をグラフ化、画像化して診断する検査です。
以下の生理検査項目を行っています。
手のひらくらいの大きさの機械と電極のシールをおなかの上に取り付けて、24時間記録する検査です。
運動中や睡眠中の不規則な動き、突発的におこる不整脈を発見できる検査です。また、「動悸・息切れ・めまい・胸痛」などの症状も記録できるため、心臓の異常によって起きたものかどうかを判断できます。
両手両足の血圧を同時に測定することで、全身の血管状態を把握することができる検査です。
糖尿病などでみられる下肢動脈の狭窄や閉塞、また血管の硬さ(血管年齢)がわかります。
超音波診断装置: 病院用4台、健診用1台
超音波検査士: 3名在籍
超音波検査(エコー検査)とは、人の耳では聞こえないほどの高い周波数を利用し画像化させて臓器の形態を調べる検査です。
被爆のリスクがない非侵襲的な検査です。主に肝臓・胆嚢・膵臓・腎臓・膀胱・前立腺・子宮・卵巣・消化管(大腸・小腸)などの腹部臓器や心臓、全身の血管(動脈・静脈)、乳腺や甲状腺などの表在臓器をモニター画面で識別し、病気から発せられる様々なサインを見極めることで診断や治療に役立つ情報を提供しています。
また、経食道心エコーといって内視鏡のように食道から心臓を観察することで血栓や腫瘍等の精査もできます。
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)は、睡眠中に何度も呼吸が止まった状態(無呼吸)が繰り返される病気です。いびきや不眠、夜間睡眠中に目が覚めたり、起床時の頭痛、日中の眠気などの症状があります。また、生活習慣病(高血圧・糖尿病・高脂血症・肥満)や心臓病、脳卒中などのリスクを高めることも明らかになっています。
当院では、まず自宅で行う簡易検査を行い、必要があれば一泊入院で行う精密検査(終夜睡眠時ポリグラフィ:PSG)をお勧めしています。これらの検査で診断と重症度の評価をします。 SASの治療としては、減量、側臥位による睡眠指導、マウスピース、CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸)療法、耳鼻科的手術などがあり、皆様のライフスタイルにあった治療方法を提案させていただきます。
いびき・無呼吸・日中の眠気などの症状でお困りの方は、ぜひご来院ください。
またCPAP療法導入後の転院・フォローアップも可能です。まずはお気軽にご相談ください。
外来診察される患者様に対して、検査技師から医師へ必要と思われる検査の提案をしています。医師と協力し患者様の診療に貢献することを目的としています。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)でCPAP治療されている方の中には、コンプライアンスが低下し継続が難しい方がいます。その場合、検査技師が医師と患者さんの仲介役として面談をし、トラブルの聞き取りや治療の必要性を説明するなどして対処の手助けをしています。
新型コロナウィルス感染拡大の対策として、令和2年11月より高齢者施設の入所者や職員を始め、無症状の市民が気軽にPCR検査を受けられる体制を整えています。また、当院には職員助成制度という仕組みがあり、職員が院内に持ち込まない・拡げないを目標に職員やその家族が必要時に検査が受けられる体制も整えています。
健診受診者を対象とした肺年齢や食後血糖の意義、潜在性SASの早期発見、新型コロナウィルス感染症やVRE感染症対策の取組みなど研究活動を行うことで、患者さまへの啓蒙や業務改善に繋がるよう取り組んでいます。