高齢者は多くの疾患を併せ持ち、全てに専門医を必要とするならば、病院は何人も常勤を抱える必要があります。現実は医師不足もあり、地方の中小病院では全く不可能な対応です。
総合診療科は、総合内科として幅広く内科全般をカバーし、簡単な外科治療にも対応できるプライマリー・ケアを主体とした診療科と考えています。疾患を適確に把握し、必要時には速やかに専門医に紹介する能力も必要です。一般に総合診療は浅く広くと思われがちですが、私は深く広くを信条としています。好奇心を持って絶えず学びながら経験を積み重ねることが大切と考えています。
在宅医療は得意分野であり、保健や福祉にも精通し、社会面や心理面に配慮するのが特徴です。ただ病気を診るだけでなく、人を探求することが重要な診療科と言えます。認知症治療も大切な守備範囲で、多職種と連携し、家族の負担に配慮する対応力も必要です。
私自身は、消化器外科、肝臓病の専門医ですが、厳しい離島で密度の高い総合診療を5年間経験した後に、総合診療専門医、認知症サポート医などを取得しました。一部の高い専門性を生かしながら、何でも診る医療に喜びを感じ、誇りを持って日々診療を行っています。
病院事業管理者・院長