杵築市立山香病院

臨床工学科

臨床工学科

臨床工学科について

私たち臨床工学科は、生命維持管理装置の操作及び保守点検を行う事を業とし、医師や看護師、その他のメディカルスタッフと共にチーム医療の一員として携わらせて頂いております。
臨床現場においては、透析室をはじめ手術室・内視鏡室でもチームの一員として患者様のケアから機器管理まで、業務が円滑に遂行できるよう体制を整えております。

スタッフ数

4名

認定資格・講習受講済

  • 透析技術認定士
  • 第二種ME技術認定
  • 第二種電気工事士
  • 透析装置保守管理技術研修
  • 輸液ポンプ・シリンジポンプメンテナンス講習
  • 内視鏡機器取り扱い講習
  • 大分ICLSインストラクター

業務内容

血液浄化業務

当院では年間5000件ほどの透析治療を行っています。ベッド数は12床あり、病棟での透析治療が可能な設備も整えています。
当院では治療1回あたり3~5時間の治療を週2~3回、隔日で行っています。

透析の流れ

臨床工学技士は、医師、看護師と共に血液透析の準備・開始から終了に至るまで治療に関わること全てが安全に行われるよう努めています。透析の準備では、治療に必要な機械や材料の確認、ダイアライザーと血液回路との組み立て及びプライミング、透析開始後は巡回点検として透析条件の確認、装置異常の対応、バイタルのチェックなどを行います。また巡回点検の際に透析装置の条件設定や血液回路の状態などを他スタッフがダブルチェックを行うことによりヒューマンエラーの予防に寄与しています。透析終了後は、抜針、止血を行います。使用した機器に関しては洗浄、消毒を行い次の透析が安心安全に実施できるよう努めています。
フットチェック、栄養指導、採血、カンファレンス、レントゲン、心電図

血液浄化療法

当院では主に、血液透析(HD)・血液透析濾過(前希釈オンラインHDF、IHDF)を行っています。他の治療に関しては血漿交換(PE)・持続的腎代替療法(CHDF、CHD、CHF)・シャントPTA介助・腹水濾過縮再静注法(CART)など、専門の資格を有したスタッフがすべての血液浄化療法に対応できる体制を整えています。

治療法説明

血液透析は、腎臓の機能である体液の調節、電解質の補正、酸塩基平衡の是正、老廃物の除去などを代行します。血液浄化療法のうち、最も普及している治療法です。

前希釈オンラインHDFとは、透析液をそのまま補液として使用する治療です。メリットとしては透析液をそのまま補液として使用するため、多くの濾過をかけることができます。多くの濾過をかけることにより、より多くの( α1ミクログロブリン、β2ミクログロブリンなど)を取り除くことができます。これにより透析アミロイドーシスの予防、透析困難症(透析中の低血圧など)、レストレスレッグ症候群(脚がムズムズしたり異常な感覚が現れる症状)、食欲不振の改善、栄養状態の改善、心不全、末梢神経障害、皮膚掻痒感などの合併症の予防効果が期待できます。デメリットとしては小分子の老廃物の除去が悪くなる、アルブミンなどの生体にとって重要な蛋白が除去されるなどが挙げられます。しかしながら、血液透析では除去できなかった老廃物の除去が可能になるという点ではメリットが非常に大きく、デメリットは最も少ない腎代替療法と言えます。

IHDF(間歇補液補充型血液透析濾過)とは、治療中に間歇的に補液を行う治療です。間歇的に補液を行うことにより、末梢の循環を改善し、透析中の低血圧の防止や老廃物除去を促進する効果が期待できます。また定期的な補充を行うことにより、血液濾過器(ヘモフィルター)の性能低下の抑制が期待できます。

水質保守管理

血液透析濾過で使用する補液は患者様の血管内に直接入るので、透析液の水質管理を厳格に行う必要があります。当院では関連学会から示されているガイドラインに従い、厳しい基準を達成し超純水透析液を作成し維持することにより安心安全な透析治療を提供できるよう努めています。

当院で使用している透析関連機器

当院で使用している透析関連機器
  • 透析用水作成装置
    逆浸透精製水製造装置「WX’R751C」(JWS社製)
    逆浸透水処理装置「MH-500CX」(JWS社製)
  • 透析液作成装置
    B剤溶解装置「DRY-50B」(日機装社製)*A液はリキッドタイプを使用
  • 透析液供給装置
    透析液供給装置「DAB-Si」(日機装社製)
  • 透析監視装置
    多用途透析用監視装置「DCS-200Si」(日機装社製)
    多用途透析用監視装置「DCS-100NX」(日機装社製)
    個人用多用途透析装置「DBB-100NX」(日機装社製)

手術室業務

手術室業務

手術室業務について、使用される医療機器の高度化・腹腔鏡下手術の普及に対応するため、臨床工学技士は医療機器を安全かつ有効に使用できるように、定期点検や使用前点検を行っています。点検業務としては、麻酔器、腹腔鏡、患者監視モニター、電気メスなど様々な機器の保守管理を行い円滑な手術実施に寄与しています。
手術の際は実際に医師や看護師と共に手術に立ち合い機器の操作を行っています。また、手術中のトラブルに備えて、臨床工学技士が速やかに対応できる体制を整えており、緊急連絡が入り次第、医療機器メーカーと連携し手術が円滑に進むよう努めています。

内視鏡業務

内視鏡業務

内視鏡検査について、検査で使用する内視鏡ファイバーと機器は使用前点検を行い、トラブル発生時にも迅速に対応できる体制を整えています。検査には臨床工学技士も介助に入り、組織の採取(生検)、ポリープの切除(ポリペクトミー)を行う際は処置具の操作を行い医師のサポートを行っています。治療後は患者様の介助や内視鏡ファイバーの洗浄及び消毒を速やかに行うことで、常に清潔で使用可能な状態にしています。
治療中は患者様への声かけや、タッチングを通して患者様の不安や苦痛を軽減し、安心安全かつ円滑に内視鏡検査を行うことができる様に努めています。

医療機器管理業務

医療機器管理業務

医療機器管理業務について、人工呼吸器、高流量鼻カニューレ(HFNC)、輸液ポンプ、シリンジポンプ、経管栄養ポンプ、低圧吸引機、除細動器などの機器を医療機器中央管理室にて管理しています。
当院では医療機器の有効利用と安全性の確保を目的として、外来や病棟で使用する医療機器の管理を一元化しています。全ての機器をID登録しデータベース化することによって、使用時の保守管理、定期点検、修理状況、廃棄までの履歴管理を行っています。貸出可能な機器は、各部署のコンピューターで随時確認することができます。
医療機器を安全に使用してもらうために定期的に医療機器の研修会を行うとともに、臨床工学技士自身も、所属する技士会や学会、医療機器メーカー主催の講習会や研修会に積極的に参加することによって、幅広い知識と技術の習得に努め、機器の信頼性と維持管理を心がけています。
透析関連装置については、メーカー講習会を受講しメーカー推奨の定期部品交換を臨床工学技士が行っています。突然のトラブルにも迅速に対応できるように安全管理に努めています。